民法 総則・行為能力

制限行為能力者の4タイプ/未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人をわかりやすく解説

この記事は「制限行為能力者の4タイプ」について行政書士試験対策向けにわかりやすく解説しています。

未成年者

未成年者とは

未成年者とは、18歳未満の者のことをいいます(4条)。

未成年者の法律行為

未成年者は、原則として、法定代理人の同意を得なければ単独で有効に法律行為をすることができません(5条1項)。
法定代理人とは法律上代理権を有する者をいい、親権者である父母又は未成年後見人が未成年者の法定代理人です。

法律上当然に代理人になる親のことを「法定代理人」と言いますのでこれも覚えておきましょう。
(ちなみに、一般的な契約等で指名する代理人のことを「任意代理人」と言います。任意代理については、「民法ー代理」の部分で説明しますのでここでは割愛)

Mr.OK(著者)
未成年者の保護者は、原則として、親権者(親)ですが、未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができるとされており(839条1項本文)、未成年後見人に指定された者が保護者となる場合もあります。
未成年後見人の指定がないときは、家庭裁判所が、親族その他利害関係人などの請求によって、未成年後見人を選任し、選任された者が保護者となります(840条1項)。

親(法定代理人)の同意を得ない法律行為は、未成年も代理人も取消し可能

未成年者が法定代理人の同意を得なければならない法律行為であるにも関わらず、同意を得ないでした行為は「取り消す」ことができます(5条2項)。
未成年者も法定代理人も取り消すことができ(120条1項)、未成年者が取り消す場合には法定代理人の同意を得ることなく単独で取り消すこともできます。

Mr.OK(著者)
親も子も親の同意を得ないでした法律行為は取り消すことができる!(親の同意を得ないといけない法律行為の場合)

ちなみに、「取り消すことができる」のであって「無効」となるわけではない点に注意です。
これは、未成年者も、有利な契約をする場合があるためです。

Mr.OK(著者)
取消しと無効の違いですが、取消しとは?

無効:初めから何もない(誰でも無効を主張できる)
取り消し:取り消すことで初めから何もなかったことにする(当事者のみ主張できる)

という違いがあります。

無効のほうがよほどのことがない限り起こりません。
「何かをやったけど、無効!!」というのは、詐欺や脅迫等よほどの法律違反、重大な結果をもたらす行為等に規定されます。

親の同意を得なければいけない法律行為に関してはこのようなルールがあるわけですが、
親の同意を得なくてもよい法律行為にはどのようなものがあるのでしょうか?

法定代理人の同意を要しない行為(例外)

単に権利を得、又は義務を免れる法律行為

「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」については、法定代理人の同意を必要としません(5条1項ただし書)。
「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」とは、単に負担のない贈与を受けたり、債務の免除を受ける行為をいいます。これらの行為によって未成年者が不利益となることはないからです。

Mr.OK(著者)
要は、子供に特に損がなさそうな行為なら親の同意はいらないってことにしておこう!っていう感じです。

「負担のない贈与」というのは「何の対価もなくお菓子あげるよ!」みたいな行為ですね。
負担付き贈与というのは「これあげるから、〇〇してよ」という行為です。これは「親の同意が必要な法律行為」になります。

あとは債務の免除というのは「〇〇する約束だったけどしなくていいよ!」という行為ですね。
子にとくに損はないからですね。

なお、未成年者が債務の弁済を受ける行為(弁済の受領)は「義務を免れる法律行為」には当たりません。 
弁済の受領によって債権が消滅し「利息の利益を得られずに損してしまう」からです。

Mr.OK(著者)
「債務の弁済を受ける」というのは「やってもらう約束を履行してもらう」ことですね。
別に子供に損はなさそうですが・・・実は損する可能性があるのです。

「やって一番想像しやすいのは「お金の返済」ですね。
一見「え?お金返してもらうんだから、子供が単独でやっても別によくない?」と思うかもしれませんが、
お金の貸し借りには利息というものがあり「利息の利益を放棄」してしまう可能性があるなど、
結構難しい話になるんですよね。ぶっちゃけこれ大人でもわからないでしょう?初学者の方なんかはとくに。

そんな話を、子供がわかるわけがないのですよ。当然親の同意なしで行える法律行為ではないのです。

法定代理人が目的を定めて処分を許した財産

法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができます(5条3項前段)。
「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産」とは、学費や旅費などをいい、未成年者は、その目的の範囲内において自由に処分することができます。

Mr.OK(著者)
修学旅行のお土産を学生さんは自由に買ってますよね?

お土産を買う行為も法律行為なわけです。お店にお金を支払って、お土産をもらうわけですから。
立派な売買契約行為なわけです。
でもいちいち修学旅行生の生徒たちが親に「このお土産を買う許可をください」なんて言いません。
そして親がいきなり出てきて「取消し!!」なんてしないわけですよ。
なぜなら「親の同意なしで子が単独でできる法律行為」だからです。あれは親が「修学旅行代でお土産代で使っていいよ」と渡したお金のはずです。
そのイメージでいいですよ!

法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産

法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産を処分することも、未成年者一人だけの判断で行うことができます(5条3項後段)。
「目的を定めないで処分を許した財産」とは、お小遣いのことで、未成年者は自由に処分することができます。

営業の許可を受けた場合

未成年者が法定代理人から営業を許可された場合、成年者と同一の行為能力を有することになり、その営業を許可された範囲で、自己の判断で営業をすることができる(6条1項)ようになります。

例えば、アパレルショップ(服屋)の営業の許可をした場合、未成年者は、服の仕入れから備品の購入・店舗の改装等に至るまで、成年者と同様に単独で行うことができます。
ただし、未成年者がその営業に堪えることができない事由が発生したときは、その法定代理人はその許可を取消し、又は制限することができます(6条2項)。

※この場合の「取消し」は、将来に向かってその効力を失わせる「将来効」で、よくある取消しのように「遡及して無効になる・遡及効」ではありません。

法定代理人の代理権

未成年者の法定代理人は、未成年者を代理することができます(824条、859条)。
例えば、未成年者である子の法定代理人である親は未成年者に代わってスマホを買うことができます。

実際契約行為自体は親が代理しますが、契約者は未成年(子)になります。
これを「本人に効果が帰属する」と言います。

Mr.OK(著者)
民法「任意代理」でも詳しくやりますが、代理というのは、

・本人(この例の場合は未成年者(子)に代わって、
・代理人(この例の場合は法定代理人(親)が、
・代理で法律行為を行い、
・本人に効果帰属させること

を言います。

ポイントメモ


未成年者の法律行為が有効に行われるには・・・

・未成年者がその法定代理人の同意を得て行う
・未成年者が法定代理人の同意を得ずとも単独で行える法律行為を行う
・法定代理人が未成年者を代理して行う(ことで法律効果を未成年者に帰属させる)

この3つがあるのです。

成年被後見人

成年被後見人とは?

成年被後見人とは、事理弁識能力(意思能力)を欠く常況にある者で、一定の者の請求により家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者をいいます(7条、8条)。
※家庭裁判所から後見開始の審判を受けていなければ、事理弁識能力を欠く者でも成年被後見人には該当しない。

事理弁識能力なし+後見開始の審判→成年被後見人

例えば、成年被後見人が売買契約をした後、事理弁識能力がないのでその契約はなかったことにしたいと主張しようとしても、成年被後見人本人が事理を弁識する能力がなかったことを証明するのは困難を伴います。そこで、一定の者の請求により、家庭裁判所が後見開始の審判をして職権成年後見人を付けて保護することにしています(8条、843条1項)。成年後見人は、法律上当然に代理権を有するので法定代理人と呼ばれます(859条1項)。

なお、成年後見人が権限を濫用することを防止するため、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、後見監督人を選任することができます(必ず選任しなければならないというわけではありません)(849条)。さらに成年後見人は、代理権の他に、後述する取消権(120条1項)、追認権(122条)を有します。しかし、同意権は有しません

Mr.OK(著者)
成年被後見人は事理弁識能力がないので、守ってあげなければなりません。しかし、その保護者である成年後見人は誰がなってもいいわけではないです。
なぜなら、成年後見人が悪い人だったら、成年被後見人の代理権を濫用したり、成年被後見人に不利益なことをしまくるかもしれないでしょ??
だから「家庭裁判所」という司法によってきちんとした手続きの上で「後見開始の審判」で認められた人だけが「成年後見人」になれるのです。

これは保佐開始/補助開始の審判も同様です。(詳しくは後述します)

成年被後見人の行為

成年被後見人は、事理弁識能力がないので、成年被後見人が法律行為を行っても、原則、取り消しできます(9条本文)。
成年被後見人本人も成年後見人も取り消すことができます(120条1項)。

例外として、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができません(9条ただし書)。身の回りの最低限の行為については、本人の自主性を尊重しようとする意図があります。

被保佐人

被保佐人とは?

被保佐人とは、精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者で、一定の者の請求により、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者のことをいいます(11条、12条)。
※家庭裁判所から保佐開始の審判を受けていなければ、事理弁識能力が著しく不十分な者でも被保佐人には該当しない。

事理弁識能力が著しく不十分+保佐開始の審判→被保佐人

家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権保佐人を付けます(12条、876条の2第1項)。
保佐人は、原則として代理権を有しないので、法定代理人ではありませんが、特定の行為について代理権を付与する旨の審判があったときは、代理権を有します(876条の4第1項)。(その場合必ず本人の同意が必要です)
保佐人は、同意権(13条1項本文)、追認権(122条)及び取消権(120条1項)を有します。

Mr.OK(著者)
被保佐人は事理弁識能力が著しく不十分なわけですが、成年被後見人のように「事理弁識能力が全くない」というほどではありません。
なんでもかんでもその保護者である「保佐人」に代理権を与えると被保佐人の自由を侵害しちゃうかもしれませんよね??
だから基本的に保佐人に代理権はないけれども、本人が同意の上できちんと裁判所で「この被保佐人には保佐人の代理権あったほうがいいよね」と認めてもらえると、
被保佐人本人も納得の上で代理権を保佐人に付与できるわけです。そんなに難しい話ではありません。

成年被後見人よりもしっかりしてるんです、被保佐人は。

被保佐人の行為

被保佐人は、原則として、単独で有効に法律行為をすることができますが、一定の重要な行為については、保佐人の同意を得なければなりません(13条1項本文)。日用品の購入その他日常生活に関する行為については、もちろん同意は不要です(13条1項ただし書)。

保佐人の同意を要する行為

元本を受け取ったり、これを利用すること
借財(借金すること)又は保証人となること
不動産(土地や建物)その他重要な財産の取引
④訴訟行為(訴えを起こすこと)
⑤贈与、和解、仲裁合意をすること
⑥相続の承認・放棄・遺産の分割をすること
⑦贈与の申込みの拒絶・遺贈の放棄、又は負担付贈与の申込みの承諾・負担付遺贈の承認(負担のない 贈与を受けることは単独でできる)
⑧新築、改築、増築又は大修繕を目的とする請負契約をすること
⑨602条に定める期間(土地について5年、建物について3年を超える賃貸借をすること
⑩①~⑨に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること

①の「元本」とは、利息や賃料を生ずる「貸金」や「不動産」をいいます。
被保佐人が「利息」や「賃料」を受け取ることについては、保佐人の同意は不要ですが、「貸金」を受け取ること(元本の受領)や不動産を賃貸すること(利用)は保佐人の同意が必要です

③の「その他重要な財産の取引」には、金銭債権、特許権、著作権、株式などの財産権の取引が含まれます。

④の訴訟行為(訴えを起こすこと)については、保佐人の同意が必要ですが、訴訟を提起されて、それに応じること(応訴)については保佐人の同意は不要です。

⑤の「仲裁合意」とは、紛争の当事者が仲裁者の判断に委ねる旨の合意であり、それに紛争の当事者は拘束されることになるため、保佐人の同意が必要とされます。

⑦の「負担付の贈与」「負担付の遺贈」とは、土地を贈与・遺贈をする代わりに、贈与・遺贈を受ける者に建物を管理させるような場合をいいます。「贈与」も「遺贈」もタダで譲渡することですが、「贈与」は双方の意思表示の合致が必要な「契約」であり、「遺贈」は相手方の意思表示との合致を必要としない「単独行為」である点が違います

⑨602条に定める期間(土地について5年、建物について3年を超えない賃貸借を「短期賃貸借」といいますが、「短期賃貸借」については、保佐人の同意は不要です。

⑩は、例えば、未成年者の親権者が被保佐人となった場合、被保佐人である親権者が未成年者を代理することになりますが、被保佐人は①~⑨の行為をするためには、保佐人の同意が必要なため、法定代理人としてする場合でも保佐人の同意が必要となるという意味です。

家庭裁判所は、上記の①~⑩以外の行為(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く)についても、11条本文に規定する者(本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官)又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができます(13条2項)。

また、家庭裁判所は、保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができます(13条3項)。被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人の同意又は同意に代わる許可を得ないでしたときは、被保佐人も保佐人も取り消すことができます(13条4項)。

被補助人

被補助人とは

被補助人とは、精神上の障害により事理弁識能力が不十分な者で、一定の者の請求により、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者のことをいいます(15条1項)
また、本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です(15条2項)。この点は、成年被後見人や被保佐人とは異なります。

事理弁識能力が不十分+本人の同意+補助開始の審判→被補助人

Mr.OK(著者)
「成年被後見人や被保佐人よりも弁識能力は普通にあるけど、普通よりはちょっと足りないくらい」のレベルなので、
本人の意思をかなり尊重する運用になっている!だから勝手に「被補助人化させるような補助開始の審判を本人の同意なしでできるわけがない!」と
イメージできるでしょう。

※事理を弁識する能力が不十分な者であっても、補助開始の審判を受けていなければ被補助人には該当しない。

家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権補助人を付けます(16条、876条の7第1項)。 補助人は、原則として代理権を有しないので、法定代理人ではありませんが、特定の行為について代理権を付与する旨の審判があったときは、代理権を有します(876条の9第1項)。さらに、補助人は、同意権を付与する旨の審判があったときは、同意権を有し(17条1項)、同意権が認められるのであれば取消権(120条1項)と追認権(122条)を有します。

被補助人の行為

 被補助人は、被保佐人よりも精神上の障害が軽度であるので、原則として単独で有効に法律行為をすることができますが、一定の者の請求により、補助人の同意を要する旨の審判をすることができ、この審判があったときは、補助人の同意を得なければなりません(17条1項本文)。ただし、審判により同意を得なければならないとする行為は、被保佐人が保佐人の同意を得なければならないとされている行為(13条1項)の一部に限られます(17条1項ただし書)。また、本人以外の請求により、同意を要する旨の審判をするときは、本人の同意がなければなりません(17条2項)。

なお、補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができます(17条3項)。被補助人が補助人の同意を得なければならない行為について、補助人の同意又は同意に代わる許可を得ないでしたとき、被補助人も補助人も取り消すことができます(17条4項)。

まとめます!4タイプの制限行為能力者

4タイプ別に、それぞれの保護者(親や成年被後見人等)が、
同意権・代理権・取消権・追認権を持つのか持たないのか、
開始の審判はどうなのか?は頻出ですので、必ず覚えておきましょう。

未成年者

成年被後見人


事理弁識能力なし

被保佐人


事理弁識能力著しく不十分

被補助人


事理弁識能力不十分

同意権 ---
(あってもなくても意味がない
のでそもそもない)
×
※追加できる
×
※追加できる
代理権 ×
※追加できる
×
※追加できる
取り消し権
追認権
開始の審判@家庭裁判所 ※親がいない場合は未成年後見人 後見開始の審判
本人の同意は当然不要
保佐開始の審判
本人の同意不要
補助開始の審判
本人の同意必要
Mr.OK(著者)
イメージがとても大切です。

未成年者は子供(放っとくと何するかわからないから守ってあげるべき人)、成年被後見人は「事理弁識能力がない人(守ってあげないとヤバイ人)」、被保佐人は「不十分だけど、ないわけではない人(一部守ってあげないとヤバイ人)」
被補助人は「基本は事理弁識能力あるけど、一部不足してる人(基本自立してるけどちょっと手助けしてあげるべき人)」と、
文字面ではなくイメージでとらえましょう。するとたとえば、

補助開始の審判は「本人の同意がないとダメ」というのも簡単に覚えられますね。
補助人に当てはまる人は基本的には本人はしっかりしてるんだから、「俺は補助人なんていらねー!」という人も中にはいるかもしれません。
無理やり「お前補助人な」なんてできるわけがありませんよね!

長くなったのでページを分けましたが、↓についてもかなり重要なので引き続き読み進めてください。

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