この記事は「行政手続法に規定される行政指導」について行政書士試験対策向けにわかりやすく解説しています。
でるでるマーク!重要頻出
行政指導は毎年1問は必ず出る!と言っていいほど頻出です。必ず理解しておきましょう。
行政指導とは?定義・概論

行政指導:行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの
つまり、一定の行政目的(規制したり、是正したり・・・etc)を達成するために、
助言、指導、勧告等の非権力的な手段を行使することにより、国民を行政庁の意図する方向へ誘導する事実的行為。
重要なのは、行政指導に、法的拘束力はないということです。
また、「特定の者に」行うのが行政指導です。つまり、一般的に幅広く行うものではないという点もおさえておきましょう。

学説上の行政指導の3種類
そして、行政指導には、学説上の3種類の分類があります。
(行政手続法に規定されているわけではない)
| 分類 | 意味と例 |
| 規制的行政指導 | 国民の活動規制を行うことを目的とするもの 例:環境・公害防止のため、法律よりも厳しい行政指導をする |
| 助成的行政指導 | 国民の活動の手助けを目的とするもの 例:中小企業向け経営指導や税務・労務相談などの情報提供 |
| 調整的行政指導 | 国民同士(私人間)の利害対立の調整などを目的とするもの 例:建設業者と周辺住民との利害対立の調整のため、話し合いを求める |

規制的行政指導:法的拘束力はないけど、国民を縛るため、法律より強くまあまあゆるくはない行政指導
助成的行政指導:法的拘束力はないけど、国民に優しく教えてあげる感じの行政指導
調整的行政指導:法的拘束力はないけど、国民同士の争いや利害関係のバランスをとらせるための行政指導
という学説上の分類があるということです。要は「行政指導というのは、基本はゆるゆるで、法的拘束力もないけど、種類によってその差はあるんだなー」とおさえておきましょう。
行政手続法に規定されている分類
行政手続法での分類では、
行政指導:申請に関連する行政指導・許認可等の権限に関連する行政指導
の2種類が規定されています。
申請に関連する行政指導
申請者が行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず、行政指導を継続することは問題です。
これは、申請が適法であるにもかかわらず、その取下げ指導や変更指導が行われてしまうことがあるためであり、行政手続法は、その限界を示すために以下の規定を設けています。
申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない(33条)。
許認可等をする権限に関連する行政指導
許認可等をする権限を有する行政機関が、当該許認可権に関する行政指導をする際には、その相手方に不当な圧力がかからないように、次の規定を設けています。
許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない(34条)。
行政指導の一般原則
行政指導について、次の一般原則があります。(原則なので、もちろん例外もあります。)
第四章 行政指導
(行政指導の一般原則)
行政手続法第32条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない
行政指導:行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの
行政指導に携わる者は、当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないと規定し、
任務又は所掌事務の範囲内で行政指導をしなければなりません。
所管事務というのは行政機関それぞれに規定されているもので、要は警察ならこれが仕事、厚労省ならこれが仕事・・・etc等と規定されている
範囲のことです。それを超えた範囲での行政指導をしてはなりません。(当たり前の話ですよね)

任意の協力による行為であること
行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
行政指導は、行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでなければなりません。
つまり、行政行為(処分)のように、相手方に義務を課したり、権利を制限するものではないのです。

不利益取扱の禁止
行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないと規定しています。

だってあくまで行政指導に従うかどうかは「任意」なんだもの。
行政指導の方式
行政指導の方式については、次のような一定のルールが定められています。
行政指導の明確化

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の「趣旨」及び「内容」並びに「責任者」を明確に示さなければなりません(35条1項)。
行政指導をするにあたっては、趣旨(なぜ、どのような意味で指導を行うのか)、そして内容(何を指導するのか)、
そしてこの指導の責任者は誰なのかを明確にする必要があります。
これがない行政指導は、違法です。
書面の交付義務

・行政指導は口頭で行うこともありますが、その場合、その相手方から上記の事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければなりません(35条3項)。
・なお、相手方に対しその場において完了する行為を求める行政指導、既に文書(書面を含む。)又は電磁的記録によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求める行政指導については、あらためて書面を交付する必要はありません(35条4項)。
・行政指導は原則口頭でもOK→相手方から書面を求められたら書面提示しなければならない
・すでに相手方に文書や電磁的記録で内容が通知されている事項に関しては、求められても書面を交付する必要はない。

と覚えておくといいですよ。割と、ここ過去問でも複数回出てるので覚えておきましょうね!
許認可等の権限を有する行政機関による行政指導
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示す必要があります(35条2項)。
許認可等に関して権限を有する行政機関が、その地位を利用して行政指導の相手方に一定の行動を余儀なくさせるなどような行政指導を防ぐため、一定の事項を示さなければならないということです。
①当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項
②①の条項に規定する要件
③当該権限の行使が②の要件に適合する理由

不許可をするなどという不利益を防止するためのものです。権限を持っている行政機関を法律がきちんと制御してくれるのです。
これが行政法の基本的理念でしたね!
当該行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から上記の事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければなりません(35条3項)。

これはほかの行政法上の手続きでも多数あるので、覚えておきましょう。
複数の者を対象とする行政指導(行政指導指針)

以下に該当する行政指導を行う際には、「行政指導指針」を定め公表しなければなりません。
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。
簡単に言うと、相手方が複数いる場合に同一の行政指導を行う場合は「行政指導指針」を定め、公表しなければなりません。(特別の支障がない限り)
「公にしなければならない」と「公表しなければならない」の意味の違いですが、
意味はほぼ同じですが「公表」のほうがより「積極的に世間に周知させる」意味合いがあります。
行政指導は基本的には「相手方」に対する者なので、複数の相手方や特定できない誰かに行われることはないのが原則ですが、
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する相手方が複数いる場合もあります。(例:ゴルフ場整備の基準、個人情報保護の基準…etc)
そのような場合は、あらかじめ行政指導指針としてこれを公表しておくことで、
行政機関側としては、「できるだけ行政指導されないようにしてね、ちゃんとルール守ってね」と周知させておくことができますし、
該当しうる人(相手方になりうる人)側としても、ルールがわかりやすいというメリットがあります。
要は、「複数の者に対する行政指導を行う場合は、ありうる相手方がたくさん想定されるので、行政指導指針をあらかじめ公表しておくほうが効率的!」ということなのです。

行政指導の中止等の求め
法律に根拠を有する行政指導が行われたとき、
「行政指導が法令違反をしている」と判断したその相手方(×何人も)が、その是正を求めることができる制度です。
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない(36条の2第1項)。
行政指導のための軽めの不服申立制度のようなものです。

「何人も」ではないので要注意!ひっかけで「何人も…」と出題されたことがあります。
〇相手方
×何人も
行政指導はそもそも行政機関が相手方に対して行う行為なので、無関係な相手方以外の人が中止を求めることはできません。
行政指導の中止等の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければなりません(36条の2第2項)。
細かい知識
申請書に記載すべき事項です。あまり出ませんが、一応書いておきます。
①申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
②当該行政指導の内容
③当該行政指導がその根拠とする法律の条項
④③の条項に規定する要件
⑤当該行政指導が④の要件に適合しないと思料する理由
⑥その他参考となる事項
当該行政機関は、行政指導の中止等の申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければなりません(36条の2第3項)。
行政指導の中止の求めがあった場合、当該行政機関は必要な調査を行い、行政指導が違法だと認める場合は中止または必要な措置をとらなければなりません。

行政指導が違法の場合→必要な調査+必要な措置 をとる義務が当該行政機関に発生する!と覚えておきましょう。
処分等の求め
法令に違反がある事実を発見した場合には、それを是正すべき処分や行政指導をすべきなのに、それがされていないときに、
何人も当該処分や行政指導をする権限を有する行政機関に対して、当該処分や行政指導をすることを求めることができます。
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる(36条の3第1項)。

これを覚えておきましょう!
処分等の求めの申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない(36条の3第2項)。
細かい知識
申請書に記載すべき事項です。あまり出ませんが、一応書いておきます。
①申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
②法令に違反する事実の内容
③当該処分又は行政指導の内容
④当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
⑤当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
⑥その他参考となる事項
当該行政庁又は行政機関は、処分等の求めがあったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければなりません(36条の3第3項)。
まとめ:行政指導の重要ポイント
・行政指導に法的拘束力はない。特定の相手方にのみ行う。相手方の任意の協力による。(×強制・×義務)
・行政機関が行政指導をする際は「主旨」「内容」「義務」を示さなけらばならない

・行政指導は原則口頭、相手方に書面を求められたら書面、すでに通知してたら書面不要
・
・複数の相手方に対する行政指導をする場合は「行政指導指針」がいる
・行政指導の中止の求めをできるのは相手方(×何人も)
・処分等の求めは何人も(×相手方のみ)
「行政指導」は頻出です。必ずおさえておきましょう!