旧監獄法施行規則事件の判例と論点についてわかりやすく解説しています。

概要
| 事件名 | 旧監獄法施行規則事件 |
| 範囲 | 憲法・行政法 |
| 公的URL | https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52770 |
Q.

非拘留者が「そんなのおかしいー!!!」と言って出訴。
事案整理・解説
Xは犯罪を犯し、東京拘置所に勾留されていた。
その裁判の第一審・第二審において死刑判決を受け、最高裁に上告をしていた。
Xはその間、死刑廃止運動に関係するAから裁判を通じて援助を受け「Aの母親B」と養子縁組を結ぶことになった。
その中で、Xは「Aの娘C(10歳=未成年・幼年者)」と手紙のやりとりをしており、
XはCとの面会を求めた。
しかし、東京拘置所長Yは旧監獄法施行規則に基づき不許可処分とした。
これを受けてXは、その不許可処分を不当・違法であるとして損害賠償訴訟(国家賠償訴訟)を提起した。
事案の法的論点
<所長YによるXに対する接見禁止の根拠>
旧監獄法50条「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」
↓旧監獄法が委任
旧監獄法施行規則120条「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」
旧監獄法施行規則124条「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」

ただし「この制限は所長の裁量で解除することもOK」と規定。それに基づいて、所長YはXに対して「接見禁止!(石鹸の不許可処分)」をした。
<XからYに対する主張>
・旧監獄法施行規則120条は、憲法31条(適正手続の保障)、13条(人権保障)、14条(法の下の平等)の保障する「幼年者との面接権(幼年者と接見することを求め、接見する権利)」を侵害する違憲な規定である。
・仮に違憲とならなくても、面接不許可処分は所長の裁量権を逸脱濫用したものである。
・所長Yを統括する「国」に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償訴訟を提起した。
判決
Q.
A.
旧監獄法施行規則120条124条は、旧監獄法の委任の範囲を超えているので無効
一 監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの)一二〇条及び一二四条の各規定は、未決勾留により拘禁された者と一四歳未満の者との接見を許さないとする限度において、監獄法五〇条の委任の範囲を超え、無効である。
旧監獄法施行規則120条「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」
旧監獄法施行規則124条「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」
は、
旧監獄法50条「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」の委任の範囲を超えているので無効。
旧監獄法50条は「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」と規定し、命令(法務省令)をもって、面会の立会、場所、時間、回数等、面会の態様についてのみ必要な制限をすることができる旨を定めている。そして、命令によって接見許可の基準そのものを変更することは許されない。
ところが、規則120条は「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」と規定し、旧監獄法施行規則124条は「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」と規定している。これによれば、規則120条が原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないこととする一方で、規則124条がその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。
しかし、これらの規定は、たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、旧監獄法50条の法律の委任の範囲を超えるもの=無効といわなければならない。
ただし国会賠償における国の過失は認めない
二 拘置所長が監獄法四五条に違反して未決勾留により拘禁された者と一四歳未満の者との接見を許さない旨の処分をした場合において、右処分は監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの)一二〇条に従ってされたものであり、かつ、右規則一二〇条及びその例外を定める一二四条は明治四一年に公布されて以来長きにわたって施行され、その間これらの規定の有効性に実務上特に疑いを差し挟む解釈がされなかったなど判示の事情があるときは、拘置所長が右処分をしたことにつき国家賠償法一条一項にいう過失があったということはできない。
国の過失は認めずこの部分は認定されていない。
まとめ:旧監獄法施行規則は旧監獄法の委任の範囲を超え無効、だけど国の過失はない

「国の過失も認めた」というひっかけが出てくることもあるので注意。国の過失は認定されていません。