憲法の基本的意味を理解していきましょう。
憲法の意味
憲法の意味には大きく「形式的意味の憲法」と「実質的意味の憲法」があります。違いは簡単です。
| 形式的意味の憲法 | 実質的意味の憲法 |
| 存在形式による概念。 憲法の内容はケアしない。 |
存在形式をケアしない。 憲法の内容(=実質)にいる概念。 |
要は、形式的意味の憲法というのは「憲法っぽかったらもう全部憲法でいいじゃーん!」という感じ。
実質的意味の憲法というのは「憲法と名乗ろうが名乗ってなかろうが、内容が国の統治とかそういう内容だったら憲法ってことにする」という感じ。
要は、着眼点の違いだけで分けた分類ということです。あんまり重要じゃありませんがたまに試験に出ます。
成文憲法と不文憲法という分け方
分け方にはまだあります。成文憲法と不文憲法です。
読んで文字通りの意味です。
・日本国憲法のように文章の形で制定→成文憲法
・イギリス憲法のように不文の慣習法によって形成されている→不文憲法
※実質的意味の憲法は、成文憲法や不文憲法といった存在形式は関係ありません。
実質的意味の憲法である日本国憲法は成文憲法ですし、実質的意味の憲法でも不文憲法は存在する可能性はあります。
別の分け方の概念です。(※形式的意味の憲法という場合、成文憲法のみを指すという説も存在していますが、行政書士試験ではそこまで問われることはまずありません。)
実質的意味の憲法。実質的意味の憲法をさらに2つに分類。
実質的意味の憲法の中には「固有の意味の憲法」と「立憲的意味の憲法」があります。
「固有の意味の憲法」とは、国家統治の基本に関する法であり、時代や国家を問わず、およそ国家の存在するところには、「固有の意味の憲法」が存在するといわれています。
例えば、近代ヨーロッパの専制国家では、専制君主(王様)が権力を行使し、民衆を支配していましたよね。その権力を行使する(=今の日本国憲法の国民主権とはおおよそまったく異なる統治の方式の)何らかの規範が「固有の意味の憲法」に当たります。
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「立憲的意味の憲法」とは、国の権力を制限することにより自由を保障しようという考えに基づく憲法を意味します。要は日本国憲法のことです。国というのは先ほどの例で言ったように、近代ヨーロッパ専制国家のような「王様が人民を支配する」というような暴走を許してしまう可能性があります。国に権力を集中させるとまずいわけです。そのような事態を避けるために「憲法によって国の権力を制限しよう!」というのが立憲的意味の憲法になります。
| 固有の意味の憲法 | 立憲的意味の憲法 |
| ・国家統治の基本に関する法 ・国家の存在するところに在る |
・国の権力を制限することにより国民の自由を保障 ・立憲主義に基づく |
固有の意味の憲法→立憲的意味の憲法への流れ・歴史的背景とは?
王様が人民を支配するような中世ヨーロッパのような固有の意味の憲法時代に、革命を起こしたのが思想家たちです。
その思想家というのは、ロック(英)やルソー(仏)です。これくらい抑えておけば大丈夫でしょう。
彼らが説いたのは、自然権思想や社会契約の理論です。
要は「王様/王族が、人民を支配する今の構造おかしいじゃーーーん!みんな本当は自由で平等じゃーん!」ということで、
市民革命を経て近代立憲主義憲法へと発展したわけですね。まさに今の日本国憲法の考え方につながっているわけです。
| 自然権とは? | 人間が生まれながらにして持っている侵すことのできない権利 |
| 国とは? | 自然権を確実にするため人は社会契約を結び、国家に権力行使を委任する。 そのためのツール。 |
| なぜ固有の意味の憲法→立憲的意味の憲法になったの? | 国の暴走による人民の支配→おかしい!と思想家たちが声をあげた。 今のような立憲的意味の憲法を作る原点となった。 |
| 国家による人民の権利の侵害が起こると? | 国家による権力行使が恣意的に行われて自然権が侵害されるときは、人民は抵抗する権利を有する。(自然権思想) |
憲法の特質
では憲法の特質、憲法そのものの性質には何があるのでしょうか?
| ①根本規範 (自由の基礎法) | 自然権思想に基づき、自然権を実定化した規定が根本規範である。 それを支える根拠となる価値が人格不可侵の原則(個人の尊厳原理)。 |
| ②制限規範 | 憲法が自由の基礎法であること。 つまり、裏を返せば憲法が国家権力を制限する基礎法であることと同じことである。 →国の暴走を止めるための憲法 |
| ③最高法規 | 一番基礎的で一番守るべき根本的規範ということ。 憲法は、国法秩序において最も強い形式的効力を有する(憲法98条)。 ただし、憲法が最高法規である理由は、憲法の内容が国民の権利自由を保障しているという実質的根拠に求められる。 →つまり、国民の自由を保障していなければ最高法規にはならないよ!ってこと。 |
憲法の基本原理(憲法の三大原則)
ではその性質に基づいて、憲法の三大原則を見ていきます。
①国民主権、②基本的人権の尊重、③平和主義の3つを基本原則としています。
国民主権とは?
国民主権とは「国家の政治のあり方を最終的に決定する最高権力としての主権が国民にある」という原理のことをいいます。なお、「主権」については、次の3つの意味があるといわれています。
| 国家権力そのもの(統治権) | 立法権・行政権・司法権を総称する統治権を意味する。ポツダム宣言8項「日本国ノ主権ハ、本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」にいう主権がこれに当たる。 |
| 国家権力の属性としての最高独立性 | 前文3段「・・・自国の主権を維持し・・・」にいう主権がこれに当たる。 |
| 最高決定権 | 国の政治のあり方を最終的に決定する力を意味する。前文1段「・・・ここに主権が国民に存することを宣言し、・・・」にいう主権がこれに当たる。 |
初学者は読まなくていいよ
国民主権には、国の政治のあり方を最終的に決定する権力を国民自身が行使するという「権力的契機」と、国家の権力行使を正当づける究極的な権威が国民に存するという「正当性の契機」の2つの要素があります。
基本的人権の尊重
基本的人権とは、人が人間であるが故に生まれながらに当然に有する基本的な権利であり、単に「人権」「基本権」という場合もあります。おれはさきほどの思想家たちの自然権思想の影響を受けています。
| 固有性 | 人権は、憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有する権利である(11条後段、97条)。 →旧日本帝国憲法では、天皇は現人神で、国民は下僕!みたいなさきほどの「固有の意味の憲法」チックな憲法だったので、あえて「天皇も、国民もみんな平等なんだよ!しかもそれは生まれながらにして当然持ってるんだよ!」と定義しているわけですね。 |
| 不可侵性 | 人権が公権力によって侵されない(11条後段、97条)。 →国によって勝手に逮捕されたり、思想を曲げられたりしないよ!ってことですね。 |
| 普遍性 | 人権が人種・性別・身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有する権利である(11条前段)。 →士農工商とかそういう身分とかで人間の価値に差はできないよ!ってことですね。み~んな平等!ってことです。 |
平和主義
日本国憲法というのは、1945年終戦以前までの「天皇による支配憲法を脱却」するという流れがあります。
日本国憲法において、
前文1段「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」
2段「恒久の平和を念願し、・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
9条「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇」「武力の行使の放棄」「戦力の不保持」
徹底した平和主義を基本原理としています。
皆さんもご存じの憲法9条はこれですね。要は「天皇によって戦争が起っちゃった。だから、天皇の権力性も、戦争も否定して、みんな平等の立憲的意味の憲法を作ったよ!」ということですね。それくらいでとらえておけばいいでしょう。