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【行政法】公物とは?公物の分類・目的外使用判例解説等をわかりやすく解説

この記事は「公物」について行政書士試験対策向けにわかりやすく解説しています。

公物とは

公物とは、国又は地方公共団体等の行政主体が、直接、公の目的で供用する有体物をいいます。公物は、「公の目的で供用」されていればよいので、所有権が国や公共団体に属している必要はありません。また、「有体物」であるので、電波などの無体物は含まれないこととなります。

公物の分類

使用者による分類

公用物 直接、国や地方公共団体の公用に使われる公物(例:官公署の庁舎・公用車)
公共用物 直接、私人の共同使用に供される公物(例:道路・河川・公園)
Mr.OK(著者)
公用物と公共用物の覚え方が微妙な人がいますが、
私人の集合体(社会)が「公共」なので、「公共用の物」ということで、「公共用物」は
河川や道路や公園など、普段私たちが利用するような場所を想像すれば簡単に覚えれます。

様態による分類

人工公物 国や地方公共団体が、手を加えて公物としたもの(例:道路・公園)→公用開始の表示あり(公用廃止もあり)
自然公物 国や地方公共団体などの人の手が加わっていないままの状態で公物となったもの(例:河川・湖沼)→公用開始と言う概念自体がない

公用開始行為:「国や地方公共団体が使用してもよい」旨の意思表示をすることで行政法学上の「行政行為」に分類されています。
公用廃止行為:逆です。使用しなくなる表示です。

細かい知識


国有公物と私有公物:国が所有する公物/私人が所有する公物
予定公物:公園予定地のように、現在は公物ではないが、将来公物として供用されることが決定しているもの

公物の目的外使用

公用物は、本来の目的を妨げない限度で、別の用途で利用させることができるという判例もあるので、おさえておきましょう。

判例:呉市小学校施設使用不許可事件

<事件概要>
広島県教職員組合Xが、毎年開催の県教育研究集会の会場として、広島県呉市立A中学校の学校施設を使用の申し出をしたところ、呉市教育委員会Bは、「Xによる集会が原因で、右翼団体による妨害活動の恐れがあり、周辺の学校や地域に混乱を招き、児童生徒に教育上悪影響を与え、学校教育に支障をきたすことが予想される」として不許可とした。このため教職員組合Xは別の公共施設を会場として開催することとなった。そこで、Xは、Bに不当に学校施設の使用を拒否されたとして、呉市Yに対し国家賠償法に基づく損害賠償請求を求めた。

<判旨>

公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かの管理者の判断の適否に関する司法審査は,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものである。

この不許可は裁量権の逸脱乱用で違法と判断されました。

Mr.OK(著者)
要は、

・学校の利用を別に教職員の組合の会合で利用するだけなので、学校の利用用途の本来の目的の範疇にあり、
・もちろん「許可するか不許可にするか」の判断はしてもいいけれど
・今回の場合は不許可にしちゃだめよ
・だって、別に本来の目的を妨げない限度内の利用だから!

ってことです。

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